野菜人・果物人
野菜人・果物人第99回後編 磯村恵子さん(「磯村家のキッチンから」店主)

第99回後編 磯村恵子さん(「磯村家のキッチンから」店主)

日本の食文化と本物の味を伝えるために、一緒に勉強していく

●本物の味を知ってほしいと始めた勉強会「シルコト」


「シルコト」で使う材料を準備する磯村さん(1)

ご職業 「磯村家のキッチンから」店主
座右の銘 まじめにコツコツ続けること

一主婦から一念発起して、旬の国産素材を使った無添加ジャムの加工、販売を始めた磯村さん。
 さらに、日本の古来より伝わってきた食文化が揺らぎつつあることに懸念を抱き、食の安全についても不安が増すことから、勉強会「シルコト」の開催を始めました。2009年から始まった「シルコト」は20代~70代の幅広い層の人達が参加し、味噌や豆腐、漬物などを一緒に手作りすることで、本物の味とは何かを学んでいきます。

「食べることはすべての基本。食べることを見直せば、人生が変わると言っても過言ではありません。そんなことを少しでもみなさんに伝えられたらと思っています」

 伝えたいことがどんどん増え、一緒に勉強していきたいと考える磯村さんは2012年からは、「シルコト」に加え、「食の見直し講座」も開講します。調理室で行なう実習中心の講座の「シルコト」に対し、「食の見直し講座」は、「きちんとたべることは豊かな人生と家族の幸せにつながる」をテーマに、受講者とのディスカッションを交えてセミナー形式で学び、デモンストレーションや実習も行います。

●「バッキ洗浄法」で少しでも安全なものを食べたい


磯村さんが開発したバッキ洗浄法のキット(2)

野菜の煮物の材料は切ってから洗います(3)


 磯村さんは、食生活の改善を図ったころから、食の安全に不安を持ち、たくさんの本を読んで勉強したそうです。しかし、環境や食べ物の危険性については書かれていても、では私達はどうしたらいいのかということは書いていなかったと言います。

「それなら、自分でやるしかない。体に良いものを食べることより、体に悪いものを食べないことが大事だと気がつきました。そのために、バッキ洗浄法なのです」

「バッキ」とは素材の段階で素材本来にない汚れを内部から引き出し汚れを落とす方法です。塩水の中に大量の空気を送りこみ洗浄します。

「100%じゃないかもしれないけれど、自分で出来ることはやっていきたいですね」

磯村さんが扱う商品はすべて「バッキ洗浄法」で洗っています。バッキすると素材そのものの味がより鮮明になるようです。バッキした野菜をだしと塩、少量の醤油だけで味付けした煮物をいただきましたが、野菜そのものが持つ甘さが引き出されていて、驚くほどの美味しさでした。
 この独自で実践している「バッキ洗浄法」を広めたいと考え、磯村さんは、データ作りに着手したそうです。


●まじめにコツコツ、そして、思い立ったらまず始めること


料理実習の様子、一人一人に声をかけていきます(4)

今日の料理実習は玄米ご飯、わかめの味噌汁、野菜煮物、おひたし、漬物(5)



 疑問に思ったら勉強する。納得できるものがなければ、自分で作り、自分で広めていく。こうした磯村さんの姿勢は、本気になりさえすれば、道は開けると私達の背中を押してくれます。

「大事なことは、思い立ったら、すぐ行動すること。思うだけなら誰でもできる。そのかわり、失敗もいっぱいしましたよ」

と笑顔の磯村さん。ご飯をおたまでよそう人がいると新聞で読み、これからは、料理を全く知らない人達にも、作ることの楽しさを学べる会を開きたいとも考えています。平日は工房とお店、週末はマーケットや勉強会、イベント。合間に取材も受け、

「お休みはほとんどありません。仕事が趣味なのかなあ。忙しくて畑に行けないのが悩み」

そうおっしゃる磯村さんですが、お肌はツヤツヤ、いつお会いしてもお元気でイキイキと活動されています。磯村さんの真摯な姿勢に基づいた好奇心、責任感、行動力は留まる事がありません。今後、どんな活動に結びついていくのか、ますます楽しみです。




※『磯村家のキッチンから』のホームページは こちら

文:野菜ソムリエ 田尻良子
写真撮影:田尻良子(1~5)