野菜人・果物人
野菜人・果物人第99回前編 磯村恵子さん(「磯村家のキッチンから」店主)

第99回前編 磯村恵子さん(「磯村家のキッチンから」店主)

野菜中心の食生活から生まれた、完全無添加、国産素材のジャム

●食生活の改善を図り、人生が変わった


「磯村家のキッチンから」店主・磯村恵子さん(1)

ご職業 「磯村家のキッチンから」店主
座右の銘 まじめにコツコツ続けること

 飾らない笑顔が魅力的な「磯村家のキッチンから」店主の磯村恵子さん。ごく普通の一主婦だったという磯村さんに変化が訪れたのは40代の時。病気にならない食生活に興味を持ち、野菜中心の食生活に切り替えたそうです。その結果、家族の体調は良くなり、健康になったと実感されました。しかし、食生活の重要性に気づいたものの、甘党の磯村さんはやはり甘いものも食べたいと思ったそうです。

「乳製品は取らない食生活だったので、スイーツの替わりに、果物を使ってジャムを作りました。その時に、日本には本当に美味しい果物があるのにそれが活かされたジャムがないことに気づいたのです」

たくさん出来るので、おすそわけしているうちに評判となり、友人の喫茶店に置いてもらったのが今の活動の始まりと言います。

 群馬県に畑を借り、野菜作りを始め、そこでの生産者との出会い、交流を経て食生活の改善を図るうちに、食品の生産、加工、流通の過程に疑問を持つようになっていた磯村さん。旬の素材の持つすばらしさを広めたいと、2004年「磯村家のキッチンから」を設立。旬の国産素材を使った完全無添加のジャムや調味料の加工、販売を始めました。

●吟味された国産素材が生きる、生産者の顔が見えるジャム


ジャムはすべて、工房で手作りしています。そして、ジャムは果物の煮物と考えています(2)

柑橘系の香り高く、ほのかな苦味が魅力のマーマレード(3)


 ジャムは年間を通して二十数種類。新鮮な国産素材にこだわり、その果物が最も美味しい時期に送ってもらい、すべて工房で手作りしています。生産者の姿勢にもこだわり、少なくてもひとつひとつを大切に生産している農家さんばかり。すべてのジャムは生産者の顔がキチンと見えます。
 そして、安心で美味しい素材を探すことに磯村さんは労力を惜しみません。新聞で「果肉も赤~いリンゴ」の記事を見つけた時も、その足ですぐ交渉に向かったそうです。

「電話で問い合わせする人はいても、実際に足を運んだのは私だけだったようです」

生産量が少なく流通しない「果肉も赤~いリンゴ」ですが、磯村さんの熱意と誠意に生産者も動かされ、分けてもらえるようになりました。

 また、磯村家のジャムには、昆布と塩が入っています。

「ジャムは果物の煮物だと考えています。海と陸のバランスが取れるように昆布と塩を入れていますが、そうすると、味や栄養のバランスもいいように思います」

確かに、磯村家のジャムは甘いだけでなく、味に奥行きや深みを感じます。素材が生きていて、体にも心にも優しい味です。


●必ず自ら出向く朝市マーケット


マーケットのお客様の質問にていねいに答える磯村さん(4)

それぞれのジャムには、素材や生産者の情報がきちんと発信されています(5)



 磯村さんのジャムが評判になり、ホテルや百貨店で扱われるようになった今でも、月に数回、自ら朝市のマーケットに出向き、自分自身で売っています。自分の商品は自分のことばで、出会った人たちに伝えたいという思いからです。
マーケットでお客様と会話する磯村さんは実に楽しそうです。お客様は磯村さんのことばに頷き、試食で納得し、買い物していきます。そして、お客様はみな、ここのジャムを食べたら、よそのは食べられないとまた訪れてくれるそうです。

「マーケットでは、他の出店者の方々との出会いも楽しみ。ずいぶん、いろいろな方々と交流があり、助けてもらっているのですよ」

 ジャムを作り、販売することで広がっていく磯村さんの世界。そして、磯村さんの熱意、フットワークはジャムだけには留まらず、さらに、活動の幅を広げていきます。



※日本の食文化が揺らぎつつあることに懸念を抱き、また、食の安全に不安が増すことから、磯村さんは勉強会「シルコト」の開催を始めます。そして、素材の内部の汚れを落とす「バッキ洗浄法」とは?



※『磯村家のキッチンから』のホームページは こちら

文:野菜ソムリエ 田尻良子
写真提供:磯村恵子さん(2、3) 撮影:田尻良子(1・4・5)