野菜人・果物人
野菜人・果物人第96回前編 梁守壮太さん(やなもり農園 園主)

第96回前編 梁守壮太さん(やなもり農園 園主)

独自の哲学を展開し、農業に無限の可能性を見出す生産者

●食べてみたい! と思わせるユニークな名前の野菜


『やなもり農園』園主 梁守壮太さん(1)

ご職業 『やなもり農園』園主
座右の銘 仕事も遊びも楽しく面白く

 『アイスとうもろこし』『爆弾トマト』『はちみつほうれん草』・・・。思わず食べてみたい! と思わせるユニークなネーミングの野菜の生産者は、大阪府箕面市の『やなもり農園』園主の梁守壮太さん。

 関西の食業界では『伝説の生産者』とも呼ばれ、梁守さんの作る野菜は、名だたるホテル・レストランのシェフ達から引っ張りだこ。


ちょっと珍しい白きゅうり。苦みが少なく甘い味わい(2)

 そんな前評判を聞いて、取材に伺い、実際に採れたて野菜を頂いてみると・・・。おいしい! 味が濃い!

「でしょ。各野菜にあわせて一番おいしく育つように、肥料のバランスを変えています。野菜の味って、種のポテンシャル・肥料の配合によって美味しく変えられるんですよ」と梁守さん。

 その絶妙の肥料バランスに到達するまでには試行錯誤を繰り返したそうですが、 「うまく配合すればどんどん味が良くなる。料理と一緒ですよね。それが面白くてはまってしまって」。



●野菜作りも人との関係も『楽しい・面白い』が基本


やなもり応援団が植え付けのお手伝い。この後は皆でBBQ(3)

イタリアンシェフによるアイスとうもろこしのニョッキも登場(4)

 そう、梁守さんを語るうえで欠かせないのが"面白いか・楽しいか"ということ。

「自分が楽しくないと、周りの人も楽しくハッピーにできないでしょ。野菜のネーミングもどうしたら美味しさが伝わるかって、遊び心で考えました」

農園に若手シェフや友人たちを招いて頻繁にBBQや新年会などイベントを開催するのも「実際にうちの野菜の味を知ってもらえるし、皆でわいわいおいしいものを食べるのが楽しいからね」。

 ビジネス的な観点よりも、『人と集まるのが好き』、というところから始まった、やなもり農園のイベントですが、それが結果として人が人を呼び、梁守さんの応援団ネットワークが形成されていったのです。
 そのネットワークメンバーのシェフが経営するレストランで誕生日会や季節のイベントを開いたり、コラボ企画を考えたり。

「自分の作った野菜がどんなふうに料理されているのか実際に体験することができますし、それにお客様の需要もわかりますから、今後の野菜作りにも生かせるヒントをたくさん得ることができます」

 その場に参加した皆がハッピーになる状態、まさにwin-winの関係が、野菜作りにもフィードバックされているのです。



●農業は大きな可能性を秘めた面白い仕事


レインボーにんじんの出荷処理を行っています(5)

地元のイベントにも積極的に参加。地域活性にも力を入れています(6)

 そうするうちにイベントは次第に大がかりになり、マスコミの目にもとまるように。 本当は、人前に出るのは苦手という梁守さんですが、取引先のレストランのシェフから「梁守さんがメディアに出ることで、『やなもりブランド野菜』の知名度がアップするのでお願いしますね」と請われ、テレビなどにも出演しご自身の野菜をPRするようになりました。

「野菜の栽培でも、人との関係でも、『楽しい』というキーワードを第一にしてきたら、美味しい野菜を作れるようになったし、気付けば色々なオファーを頂くようになってましたね」

 現在は、店舗プロデュースや農業講師、ディベロッパーと組んで屋上緑化のプロジェクトにも参加するなど、多岐にわたって活躍する梁守さん。生産者のみに留まらず、独自のポジションを築いています。

「農業というのは大きな可能性を秘めた面白い仕事です。僕は農業というキャンバスに絵を描くアーティストだと思っています」



※<後編>では、梁守さんが現在の独自のスタイル・ポジションを築くまでの軌跡と、そのなかで確立された『やなもり哲学』について紹介します。



※『こだわり野菜 やなもり農園』のホームページは こちら

文:ジュニア野菜ソムリエ 尾崎美鈴
写真提供:梁守壮太さん(2ー6) 撮影:尾崎美鈴((1))