野菜人・果物人
野菜人・果物人第95回後編 日東寺陽一さん(株式会社はにーびー代表取締役)

第95回後編 日東寺陽一さん(株式会社はにーびー代表取締役)

生産者の思いを代弁する販売者として、今、何ができるのかを模索する

●商品のすばらしさはお客様から教わった


日東寺 陽一さん

ご職業 株式会社はにーびー代表取締役
座右の銘 一期一会

 33年間、文具卸業のやり手営業マンとして鳴らしたものの、業界の低迷を案じて業種変えを決意。残りの人生をかける商品として選んだのが「野菜」でした。仕入れは地元の無農薬野菜生産者団体、「おかげさま農場」です。

 「大根を切ったときの音が違う」「持ちがいい」「味が濃くておいしい!」。自分が扱っている野菜の素晴らしさを教えてくれたのはお客様でした。

「人に感謝される仕事がしたかった。うまい野菜を食べたお客さんは本当にいい顔をして喜んでくれました」

 実は、野菜に関しては素人同然で転業した日東寺さんが、生産者からパートナーとして認めてもらうまでには時間を要しました。「おかげさま農場」のまとめ役である高柳さんとは、「まともに口を聞いてもらうまでに3年かかった」といいます。それだけに、生産者がこだわりぬいて育てた野菜の販売を担う立場として責任とプレッシャーを感じています。



●手間のかかる「無農薬」にこだわる農家を支えたい


3年かけて熟成する堆肥置き場

 「これからどうすればいいっぺかなあ」
 毎日のように産地に足を運び地元弁で会話をかわす日東寺さん。生産者の苦難の状況は痛い程よくわかります。農家も無農薬栽培を続けることに不安を隠せません。
 出荷時には自前の放射能測定器機で検査をして数値を公開しているものの、国内はもちろん、輸出に関しても売り上げは大幅ダウンしてしまいました。安全でおいしい日本産野菜の需要は戻ってくるはず。それまで、「俺がなんとかすっぺから・・」。自らを鼓舞するべく生産者を励まします。



●パーティを主催し「食」で繋がる出会いの場を提供


おかげさま農場の大竹さんのトマト畑。産地に足繁く通い、状態を把握する日東寺さん。

近隣の産地から新鮮野菜がぞくぞく届く集荷場。毎朝野菜を箱詰めにして出荷する。

 一期一会、人との出会いを大切にしてきた日東寺さんは、「食」という共通テーマに関心を寄せる仲間が集うパーティを2ヶ月に1回のペースで都内で開催しています。生産者をはじめ、これまで仕事で出会った人々に声をかけ、男女問わず多い時は90名ほど集まります。堅苦しい話は一切無し。出会いの場を提供することが目的と語る日東寺さん。「出会うことで新しい事業の話や繋がりが生まれてくれればいい」と語ります。

 自らも大使館主催のパーティをはじめ、様々な会合に赴き事業パートナーと巡り会うことで、輸出を含めた販路拡大をすすめてきました。そして、契約に至る前には必ず「産地を見学してもらう」が前提。長年営業で培った交渉術や口説きのテクニックで契約まで至ったとしても、最後は「来て見て納得してもらう」のが日東寺さん流商売の基本です。

 今後は、新規就農者を含めた若い生産者をとりまとめて新しい事業を始められないかと考えている日東寺さん。団体作りの規制緩和や新規就農者の生活支援策等、行政への提言も必要だと考えています。

 また、ジャパンブランドの復興にむけ、国家レベルで日本野菜の安全宣言を世界に向けてアピールするべきと。農政への持論を掲げつつ、この危機を乗り越えるべく生産者とともに戦っています。







※株式会社はにーびーのホームページは こちら

文・写真:ジュニア野菜ソムリエ 渡邉美穂