野菜人・果物人
野菜人・果物人第85回前編 大橋明子さん(イラストレーター)

第85回前編 大橋明子さん(イラストレーター)

野菜の成長は神様の傑作!プランターから野菜の本当の姿を届けるイラストレーター

●手を伸ばせば、野菜が収穫できる日常


家庭菜園を綴ったイラストエッセイを出版されている、大橋明子さん

ご職業 イラストレーター、家庭菜園&料理愛好家
座右の銘 今日一日を生ききる

  東京都心から、電車で約30分。静かな高台の一軒家にお住まいの大橋明子さんの職業は、イラストレーター。自宅庭のプランターで野菜を育てる日常を、親しみあるイラストとエッセイで綴った本を出版し、読者を増やしていらっしゃいます。


自宅駐車場にて。スーパーで買ってきた れんこん から芽が出て、それをプランターに植え替えたそうです

 その著書は、これまで多くの新聞や雑誌、テレビの情報番組が紹介。「プランターで栽培する野菜作りに、親近感を持ってもらえるのでしょうね」と、お話しされる雰囲気にも、その親しみやすさがにじみ出ています。

「来て来て!ぜひ今日はね、駐車場の れんこん を、まず見てほしいんですよ」

と、大橋さんに案内されたのは「駐車場」。れんこん と言えば、腰まである深い泥田を思い描いてしまいますが、一角に置かれたプランターには、一株から丸い蓮の葉が立派に9枚。


こちらは、プランターの蓮の葉でくるんで蒸した中華ちまき。「葉の香りが違いますよ!」と

「プランターで、初めての蓮根栽培に挑戦中なんです。収穫は冬ですけど、今日はこの葉で、中華ちまきを作ろうと思っています」。

 この日、大橋さんが用意してくださった料理は、「甘長とうがらしのタブレ」「卵のミモザ」「ナス、ピーマン、シシトウの揚げびたし」「ハスの葉のちまき」「バジルとレモンのジェラート」。

 どれも、プランター栽培で収穫したお野菜メインのレシピ。「おもてなしも大好き」という大橋さんの弾む声も、野菜からパワーをもらっているからこそのようです。



●「イラストレーター」「家庭菜園愛好家」という二つの肩書で


センスの良いプランターが並ぶお庭は、南向き。「お野菜栽培にも良い環境なんです!」

 大橋さんは、18年近くイラストレーターとして活躍されてきた方。

「本業はあくまでイラストレーター。花・ハーブと育てる中で始まった家庭菜園に関しては、野菜作りの専門家としてではなく、野菜との暮らしの楽しさを発信できればといった感覚・姿勢を大切にしています。栽培も、畑ではなく庭のプランターなんですよ」
と、お話されます。

イラストレーターというキャリアがあるからこそ、日常の趣味をただストックするだけでなく、その驚きや感動を分かりやすく発信、2冊の著書出版という今日に至った、大橋さん。その内容は、「えっ?おっ!」という驚きがあり、「私にもできそう!」と思わせる親しみやすさに溢れています。


野菜の持つ「色」も楽しんでほしいから...と、おもてなしの際は、白いお皿を選ぶことが多いとか

「イラストの仕事が忙しければ、庭に水やりしかできない日もあるし、収穫に失敗したこともたくさん」と、包み隠さず告白。しかし、伝える側であることも強く意識し、「失敗はできても、間違ったことは伝えられない」と、常日頃から何冊も所有する専門書を開き、筆を進めています。

 イラスト・エッセイストとしてはプロの仕事を、家庭菜園においては愛好家というスタンスを大切にしている大橋さんだからこそ、その独自のスタイルが魅力となり、読者にも伝わっているのでしょう。



●何気ない、でも目からウロコの「野菜の本当の姿」への共感


「とんがり帽子が上部」という事実に驚いたというオクラは、「毎年栽培しています!」と

 大橋さんの著書の中、よく出てくるのが、「発見」と「驚き」の表現の数々。生活者と同じ目線だからこその何気ない「感動」のエピソードが、読者に受け入れられているようです。おそらく、この感覚が野菜作りの専門家との違いであり支持される理由。

 中でも、普段見慣れた野菜達の意外な姿のエピソードには、読者から驚きが多く寄せられるそうです。大橋さん自身、著書の中で、「人間の立場から見た『食べ物』としての野菜が、『生き物』としての野菜に変身していくよう」と記述。プランター菜園から「野菜の本当の姿」を、イラストと分かりやすい言葉で伝えています。

 例えば、オクラの話では、「オクラの上部は、とんがり帽子の部分!私は、今まで逆さに見ていました」という告白も。ピーナッツを栽培した際は、「落花生」という字で表す理由を知ったとか。ピーナッツとサツマイモ、トマトとバジルなどの「コンパニオンプランツ(共栄作物)」については、「お料理との相性も抜群ですよ」と、お料理でおもてなしすることが最高の喜びと語る大橋さんならではのポイントも書き添えています。

「手を伸ばせば、すぐに野菜が収穫できる距離感」と上手に付き合う、大橋さんの発見・驚きの野菜作りは、次なる家庭菜園愛好者を生み出しているようです。



※後編では「野菜のように生きたい」と語る大橋さん。家庭菜園から「自らの生き方まで学んでいる」と語るエピソードや、オリジナルのレシピについてご紹介します。

●参考著書:
『おどろきいっぱい野菜畑』 大橋明子 著 (光文社)

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文:野菜ソムリエ 神林春美
写真提供:大橋明子さん(後編の予告写真)
クマモトミカ(フリーカメラマン/その他の写真すべて)