野菜人・果物人
野菜人・果物人第82回前編 高山厚子さん(沖縄料理研究家)

第82回前編 高山厚子さん(沖縄料理研究家)

緑のカーテンを通し「育てる」「食べる」「人とつながる」喜びを広めたい

●あっちゃんはつまみ食いの王様


高山厚子さん

ご職業 沖縄料理研究家
一般社団法人「沖縄食と健康のアイランド」代表
緑のカーテンの恵みの料理教室&講演活動
座右の銘 人生は愛とロマン

 「今日はゴーヤーのフルコースよー! たくさん食べてね」
 高山厚子さんのご自宅のテーブルには"ゴーヤーサラダ"や翡翠色の"ゴーヤーゼリー"など、とても彩り豊かな料理が並んでいました。高山さんは小学校の校長を長く勤め、退職した現在は沖縄料理研究家として活躍なさっています。


ご自宅のベランダにあるゴーヤーの緑のカーテン

高山さんのゴーヤーを使ったフルコース(ゴーヤーサラダ)

 テレビに出演したり、コンテストで賞をとるほどの実力に、どこでお料理を勉強したのか疑問に思って伺うと

「小さい頃の私は"ガチマヤー(沖縄の言葉でつまみ食いの王様という意味)"だったの。兄弟が多い上に、大勢のお客さんが遊びに来る家だったので、お手伝いを通して自然にいろいろな料理を覚えたのね」

 明るい笑顔とハキハキした口調で、その場をパッと明るくする高山さん。小さいころから人気者であったことがうかがえます。そんなお人柄もあって、今も新聞や雑誌の料理コラム、そして講演活動にひっぱりだこ。

「忙しいけど、風邪も引かないの。ゴーヤーを食べてるおかげかしら?」

ニコッと惹き込まれるような笑顔をしながら、高山さんはおっしゃっていました。



●緑のカーテンを広めるために空も飛ぶ?


都内の熱帯植物園で行われた緑のカーテンの講演

 ご自分のことを「空飛ぶあっちゃん」と紹介する高山さんは、その名の通り日本全国を飛び回っています。

 沖縄料理研究家として、愛する故郷の料理を紹介するとともに「緑のカーテン」を全国に広めようと精力的に活動なさっているのですが、実は沖縄料理と緑のカーテンは切っても切れない関係にあります。



ゴーヤー料理教室にて

「緑のカーテン」とは、つる性の植物を窓辺にはわせることで夏の蒸し暑い室内の温度を下げる、いわば天然のクーラーのこと。夏に作りやすいつる性の植物といったら、沖縄野菜の代表であるゴーヤーやヘチマ。高山さんの専門分野です。

「どうやってゴーヤーやヘチマを食べたら良いか知らない人もいますから、いろいろな料理を提案しています。自分で育てたものは美味しく感じますし、安心して食べられますよね」



●老いも若きも「うりとも」の輪




高山さんのゴーヤーを使ったフルコース(ゴーヤーのてんぷら、ゴーヤーゼリー、ゴーヤーチャーハン)

「ゴーヤーチャンプルだけなんてもったいない!」

 高山さんは「緑のカーテンの恵みを食べよう」という本を自費出版して、栽培から食べるまでの楽しみを紹介しています。取材中にも、高山さんが考案したゴーヤーの葉と白いワタをつかった天ぷらを振る舞ってくださいました。私は初めて食べたのですが、香ばしさとほんのり残る苦みが、塩味にぴったり!ついつい手が出る美味しさでした。

「ゴーヤーから人の輪も生まれているの。たくさんの人が行き交う新宿で、誰とも話す機会がなかった一人暮らしのお年寄りが、ゴーヤーを育て始めました。大きくなるにしたがって、家の前を通る人たちから"それはなんですか?"とか"大きくなりましたね"と声をかけられるようになったんですって。引きこもりがちだったその人は、ゴーヤーを通じて人と話すことが、毎日の楽しみになったそうですよ」

 何とも素敵なお話! こんなふうに緑のカーテンから広がる仲間のことを、新宿では"うりとも(瓜友)"と呼ぶのだそうです。

「緑も見えて、涼しくて、美味しい! そして人ともつながる。緑のカーテンはいいこと尽くし!」

 元気いっぱいの高山さんから、"うりとも"の輪がこれからもどんどん広がっていきそうです。



※後編では「緑のカーテンを」を未来を担う子供たちにを託す
高山さんの姿をレポートします。


空飛ぶ あっちゃんブログ(高山さんのブログ) ブログはこちら


文・撮影:野菜ソムリエ 霜村春菜
写真提供:高山厚子さん(ベランダのゴーヤー・料理教室・講演)