野菜人・果物人
野菜人・果物人第81回前編 野本一弘さん(有限会社葉っぱや 代表取締役)

第81回前編 野本一弘さん(有限会社葉っぱや 代表取締役)

水耕栽培に農家の未来を託す、「ブーケレタス」の産みの親

●葉っぱやの顔「ブーケレタス」に掛ける思い


ブーケレタスを手に 野本一弘さん

ご職業 有限会社葉っぱや 代表取締役
座右の銘 スピード なんとかなるさ

「ほら、こうやって持つと花嫁のブーケみたいでしょう」

 ヨーロッパ原種の非結球レタスを水耕栽培用に品種改良した「ブーケレタス」はその名の通り、柔らかく波打つ葉がブーケのように広がるとても美しい野菜です。

「歯触りがいいしクセがないから子供たちがバリバリと食べてくれて、これはイケると思いましたよ」

と確信する有限会社葉っぱやの野本一弘さん。手塩にかけて開発した「ブーケレタス」への眼差しは産みの親ならでは愛に溢れています。


本社に隣接する野本農園。ブーケレタスを収穫中

市原市を走るローカル路線の小湊鉄道、その駅名に好奇心をそそられる海士有木(あまありき)に本社を構える同社は、隣接する野本さん所有の農園をはじめ、全国の契約農家で栽培されるブーケレタスを中心に、糸みつばやハーブ類、サンチュなどの水耕栽培作物の販売・卸を担うべく、平成15年に創立されました。

 流通に乗せ易く鮮度を保つパッケージの開発や、イベントでのPRなど、単独農家では手が回らない部分を野本さんの会社が引き受け、契約農家をグループ化することで、販売数量や売り上げの拡大を図ります。 現在は、葉っぱや協同組合を設立し、個々の農家との契約や交渉に奔走する毎日。

「組合は個性の強い中小企業の社長の集まりのようなもの。まとめるのは難しいですが、中小企業が協力し合えば、大手企業にも負けない農業ができるようになるはず」

これも、自社開発ブランドである「ブーケレタス」という主力商品あってこそとの思いがあります。



●ブーケレタスに一目惚れ!


ブーケレタス・ケース入り


水耕栽培で根を張るブーケレタス


レストランおすすめの「ブーケレタスのサラダ」。メニュー開発は食べ方の研究につながります

 それは、17年前のこと。視察で訪れた農業試験場で、路地栽培されていた直径1メートルはあろうかと思われる巨大なブーケレタスの原種を目にし、「強烈なインパクトがあって惹かれた」のが運命の始まり。

水耕栽培において豊富な経験と知識を有していた野本さんは、種苗会社と協力し、水耕栽培に適した品種への改良に取り組み、現在のブーケレタスが誕生しました。

 水耕栽培作物は一般的に日持ちがせず、傷み易いという流通業界泣かせの一面もあるため、そのイメージを一新すべくパッケージの改良にもこだわったのです。

「このパックに入れておけば、冷蔵庫で10日くらいは持ちますよ」

 ペットボトルと同じ材質を使ったというリサイクル可能なパックは、重ねてもひしゃげる心配がないので葉先も傷みません。

 普通のレタスの5倍のβ-カロテンを含むブーケレタスは、堅い芯がないので余すところなく食べきれ、ぎっしり重なる葉はボーリュームたっぷり。手でちぎって食べられ、しゃきしゃきの食感と鮮やかな緑色でいつものサラダをグレートアップしてくれます。

 食べ方の研究も葉っぱやの大事な仕事。内房線五井駅近くにあるレストランで、シェフ自ら契約農園で収穫した材料で、日々新メニューの開発に取り組み、その結果を研究へ反映させているのです。



●栽培に専念でき、採算に合う経営ができるシステムで農家を応援したい


「たまには農園にも顔ださないと」。農園で作業する野本さん

 葉っぱやを立ち上げ社長となる前は、生産者として一日の大半を作業着で過ごしていた野本さん。農家との交渉や卸先との契約などが主な業務となった今では背広姿がユニフォームとなりました。

「農園にあまり顔出さないとね、作物が焼きもちを焼くんですよ。それだけ愛されているということなんだけど・・・」

と逢えない淋しさもチラリ。「本当は作業着のほうが気が楽だし似合っている」というものの、野本さんには、葉っぱやを通して成し得たいことがあります。それは、「農業は面白い。だからこそ、農業で食べていける、採算に合う経営ができるシステムを作りたい」ということ。

「販売先は葉っぱやが保証する。その分、農家は栽培に専念してもらいたい。農家との信頼関係がなければできない仕事です。親子三代までつき合って初めて本物の信頼関係を築けると思っています」。



※後編では、今年の3月に販売が開始された水耕栽培キットに隠された野本さんの思いと、経営者としてのこれからを語っていただきます。



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文・撮影:ジュニア野菜ソムリエ 渡辺美穂
写真提供:野本一弘さん(ブーケレタス商品、野本さん写真) 撮影協力:プチレストラン「ルッコラ」