野菜人・果物人
野菜人・果物人第76回後編 並里哲子さん((有)アセローラフレッシュ代表取締役) 

第76回後編 並里哲子さん((有)アセローラフレッシュ代表取締役) 

一粒一粒、一軒一軒。積み重ねながら次の夢へ

●「無農薬」と「手摘み」こだわりが生む本部町産アセローラ


並里哲子さん 会社の前でノボリ旗と一緒に

ご職業 農業生産法人 有限会社アセローラフレッシュ
代表取締役
座右の銘 正直・あるがまま

 本部町のアセローラは、丸ごとほおばれるように無農薬栽培とすることと、傷みやすい実のため、「一粒一粒手摘み」がモットー。手摘み収穫の後、一粒一粒、重ならないよう箱詰めされ並里さんがいる作業所に集まります。

 この丁寧な仕事が本部町産アセローラの質・価格を高い水準に保ち、ひいては、生産者の収入の安定も生み出しています。「いいものはいい状態で提供したい」という、並里さんの思いもあります。

●1軒1軒伝え歩いた日々から、町の味・県の味へ


アセローラゼリーは小学校の給食でも大人気

アセローラ活用例:本部グリーンパークホテルのアセローラディナー写真(1品)

 約20余年前から、アセローラ普及に携わってきた並里さん。栽培普及のため農家を訪ね歩いた活動からも10年の月日を数えた1999年、アセローラにとって新たな発展の道筋が生まれました。

 本部町によって、アセローラの収穫が始まる5月12日が、「アセローラの日」に制定されたのです。すぐには行政の力に頼らずコツコツと地道に積み重ねた活動がさらに大きな実を結んだ出来事でした。

 それから毎年5月12日は町内で記念イベントが開催され、2007年のイベントでは地元中学校で作られた「アセローラの歌」が発表されるなど大いに盛り上がったと言います。他にも町内の小学校の給食にもアセローラゼリーが登場するなど、まさに地元の味としての定着度には目を見張るものがあります。


 


沖縄県から与えられた「拠点産地」認定証(本部町役場にて)

 また、翌2008年には、本部町が沖縄県から初めてアセローラの拠点産地に認定され、人気の観光スポットとともに、青果としては沖縄県内でも流通量が極めて少ない「生のアセローラが食べたい」と本部町を訪れ、アセローラ摘みを楽しんだり、アセローラを扱う飲食店に足を運ぶ人も増えるなど、町の観光資源にまで成長しました。

 さらに2009年にはパパイヤやドラゴンフルーツに並んで沖縄県の戦略品目に指定されるなど、年々その認知度と期待が高まっています。最近では、町内・県内だけでなく県外で行われる沖縄県のイベントなどでも、特産品としてアセローラが紹介される機会も増えるなど、「本部町の味」から「沖縄県の味」へとさらなる飛躍を見せつつあります。


アセローラ活用例:町内にあるSK美容室の「手作りアセローラ石鹸」

 その期待度の高さは並里さんと町内を歩いていても、「本部町のアセローラ、よろしくね」とあちらこちらから声がかかることで実感できます。町の人たちと楽しそうに話す並里さんのうれしそうな笑顔はひときわ輝いて見えました。



●アセローラとともに歩き、次の夢へ


アセローラフレッシュの人気商品、ゼリーを作る並里さん

  同じくアセローラ商品を扱う食品メーカーとの連携も普及活動当初より活発に行い、今では沖縄県外のレストランなどからも引き合いが増えたそうですが、地元にしっかり根を下ろした活動をされている並里さん。町内や県内の特産品とのコラボレーションも模索するなど、挑戦の日々は続いています。

 そして、町内125を数える飲食店中70店がアセローラ商品を提供する現状から、「町内どこに行っても食べられるようにしたい」そして、食卓で気軽にビタミンCを摂取できる「健康機能をもった嗜好品にしたい」と、次の夢も抱いています。

今年ももうすぐアセローラの季節がやってきます。そして旬である夏へ。並里さんおすすめの、「たわわに実るアセローラの赤が美しい畑」に会いに、再び本部町を訪れてみたいと思います。

文・撮影:ジュニア野菜ソムリエ 原神千枝