「和食ではんなり」by和食マイスター養成講座

2015年5月18日

Bento ランチボックスの中の宇宙

海外でのお弁当(Bento)ブーム、和食や日本文化に関心の高いフランスから今ではイギリスやドイツなどのヨーロッパ各国や米国、アジアへ広がり、単なるブームから健康志向や節約志向の高まりなども手伝い、本格的な食文化としても定着し始めています。今やBentoは各国の辞書にも掲載されるなど世界の共通語になりつつあるようです。


海外にはランチボックスもありますが、タッパーなどの容器にサンドイッチやおかずを単品で詰め込んだものが主流。私も米国留学時代は、よく学生寮のキッチンやカフェテリアの電子レンジでタッパーを温めてフォークでかき混ぜて食べている学生をよく見かけたのを記憶しています。
先日見た映画に出てきたインドのランチボックスは、カレーやお惣菜、ライスやナンなどがそれぞれ単品で別々の容器に入り積み重なったもので、(ステンレス製でかさばるせいか、自分で持参しないスタイルで、職場まで配達サービスする専門業者があるのにはびっくり)いわゆるコンパクトで日本の彩りよいお弁当とは別物です。
その日本式のお弁当が、見た目の美しさだけでなく、栄養バランスの良さや近年の和食ブームも手伝って、さらに人気が高まっているようです。


先月、兵庫県たつの市で外国人向けの「初めてのBENTO&HANAMI体験」(運営:龍野城下町活性化プロジェクト/NPO法人ひと・まち・あーと/株式会社みたて)というイベントが行われました。
このイベントは和食に欠かせない調味料、うすくち醤油の発祥の地であるたつの市で外国人に弁当づくりと花見を通して和文化を堪能してもらう試み。当日は5カ国から10人の在日・訪日外国人が参加し、天ぷら、タケノコご飯などを講師の指導で調理、可愛らしいお弁当箱に詰めて龍野城址で試食、日本の食文化を楽しみました。
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講師の指導による参加者のBENTO作りの様子


ところで海外で高く評価されているお弁当本、
『The Just Bento Cookbook(Makiko Itoh著、Kodansha America)』があるのをご存じですか。Amazon洋書・料理本カテゴリーで長年上位ランキングされ、店舗イベントなども開催されるほどの人気です。
外国人向けですが、海外では手に入りにくい食材や、キャラ弁のような装飾に凝ったものでなく、ベーシックでシンプルな食材や調理方法を中心としたお弁当が幅広い支持を得ています。著者が自身のウェブサイトで紹介しているお弁当の基本は、外国人だけでなく日本人の私達にも大変参考になるヒントが詰まっています。


1. My bentos have to be reasonably healthy and balanced.
栄養バランス(炭水化物、タンパク質、野菜等)の良さは見た目も色どり豊かできれいに。

2. Keep it simple. 
シンプルに。おかずの種類は多くて4、5品目、普段は3品目以下でも十分。

3. Make sure the bento is tasty.
健康志向でも味気なければつまらない、おいしさも大事。冷めても(室温でも)おいしい味付けを。

4. Make the bento, fun, colorful and attractive, but don't fuss too much.
見た目も大事、でもあまり飾りつけに懲りすぎない。バランスの取れた素材の色どり豊かなお弁当はそれだけで美しい。

5. Use seasonal, locally grown, natural ingredients whenever possible.
できる限り旬の食材、添加物などの少ない食材を。

6. Pay attention to safety and hygiene.
衛生面への配慮もしっかりと。盛り付けの際は箸を使うなど素手をできるだけ避け、夏場は保冷剤などの使用を。

7. Plan ahead.
ある程度事前に計画することで、食材のムダをなくし、効率アップ。

8. Stock up on homemade and store-bought staples.
常備菜を 乾物や冷凍もフル活用。

9. Keep costs down.
毎日のお弁当はできるだけ経済的に。
(10. Don't try to replicate Japanese bentos made in Japan, at least not all the time. いわゆる和食の食材・調理法にこだわらず、手に入る食材や調味料で代用。)


私自身も数年前にお弁当づくりを始めましたが、お弁当箱の限られたスペースを詰めていく作業が楽しくもあり、お昼の時間には中身が分かっていても蓋を開けるときはなんとなくうれしいものです。お弁当を作る際に目安として、5つの色(緑:葉物やピーマン、ブロッコリーなど、赤:ミニトマトや赤ペッパーなど、茶:肉や魚、黄色:私の場合は卵焼き、白:ご飯)が入るようにすると、なんとなく栄養バランスも色どりもそれなりになるようです。これに味付けも塩味、甘味、辛味、酸味などできるだけバリエーションを加えるようにしています。
ちなみに、日本料理では五味(味覚:甘味、辛味、塩味、苦味、酸味)五色(色彩:赤、青、黄、黒、白)五法(調理法:生、焼く、煮る、蒸す、揚げる)という基本となる定式があり、これらを組み合わせると、おいしいだけでなく、見た目にも美しく、栄養バランスもとれた献立を作ることができるといわれています。そういった観点からも、お弁当は限られたスペース内で効率よく栄養が摂れる優れた食文化であることがわかります。日本独自の食文化であるお弁当、海外でのBento人気をきっかけに、その魅力を再認識しています。
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お弁当の容器選びも楽しみのひとつ

ジュニア和食マイスター
宮田麻子

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