「和食ではんなり」by和食マイスター養成講座

2015年1月 9日

かもめ食堂に見る和食・家庭料理

映画『かもめ食堂』をご覧になったことはありますか。
『かもめ食堂』はフィンランド・ヘルシンキで小さな日本食堂をひらく女性のおはなし。
劇中に出てくる料理が本当においしそうなのです。
その料理というと、焼き鮭のおむすび、厚焼き卵、とんかつ、しょうが焼き、肉じゃがなど、いわゆる家庭料理です。
これらは日本人にとってはどれも馴染みがあり、ごく普通の、でもていねいに作られた、気持ちが温かくなる家庭料理。主人公のセリフである「素朴だけどおいしいものってここの人ならちゃんとわかってもらえるような気がするんです。」のとおり、現地の外国人にとっては馴染みのない日本食を、おいしそうに食べているシーンも印象的です。
この映画を通じて、人と人とのつながりや和食の素晴らしさを再認識するだけでなく、
国や文化は違えど、おいしい食事をいただくことは幸せの基本であること、素朴な家庭料理、日々のご飯のちからの凄さを実感します。


実はこの映画の撮影場所である『かもめ食堂』はフィンランドに実在するカフェで、今年の4月にフィンランドを訪ねる機会があり、実際に行ってきました。ヘルシンキの中心地から少し離れた住宅街にあり、「Kahvila SUOMI(カフェ・スオミ)」という名で、カフェというよりは、むしろ町の食堂に近いこぢんまりとしたお店です。
パンやコーヒーなどのカフェメニューのほか、サーモンスープや白身魚のフライなどフィンランドの家庭料理を手頃な値段で食べることができます。映画の影響でここを訪ねる日本人も多いようで日本語でのメニュー書きもありましたが、訪ねた時間帯はお昼時で多くの地元の人たちで賑わっていました。

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Kahvila SUOMI(カフェ・スオミ)。日本語で『かもめ食堂』の文字も。


ところで、和食というと懐石・伝統料理など少し敷居が高いイメージですが、和食の定義も拡がりつつあり、もともとは外国から輸入され、日本独自の食材や調理法で発展した料理、例えばコロッケ、肉じゃが、カレーなど多くの家庭料理となっているものも日本独自のジャンルとして日本人の食生活に根付いています。


昨年、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されましたが、年中行事やいわゆる家庭料理を含め食を通じた家族や地域のつながりを深める文化そのものがその対象となったとされています。また、日本列島各地で地域に根差した多様な食材を用い、素材の味わいを活かしながら出汁やしょうゆ、みそなどを用いた調理技術・道具もその特徴として挙げられています。


一方で、米、みそ、しょうゆ、昆布といった和食の食材の消費量低下は著しく、若者を中心とした和食離れや、和食の根本である「うまみ」を理解できない人々も増えてきていると聞きます。健康面からも注目される和食ですが、日本の文化・習慣そのものであることを実感し、ここで今一度、家庭料理のちからを見直し、日常の料理に和食を取り入れた生活を送るように心がけたいものです。

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肉じゃがとセロリの塩麹漬け


ジュニア和食マイスター
宮田麻子

参考文献
・農林水産省 平成25年度食料需給表(概算)
・農林水産省「和食;日本人の伝統的な食文化」の内容

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