「和食ではんなり」by和食マイスター養成講座

2015年12月 4日

「塩の道」が結ぶ海の幸と山の幸

先日、故郷信州は信濃大町の食のイベントが銀座NAGANOで行われ、伝統食材を使った郷土料理を味わってきました。「お祭りご膳 」といわれるこの料理は、その昔、日本海と信濃を結ぶ千国街道(通称「塩の道」)の荷継宿として栄えた信濃大町で、ハレの日に出されたおもてなし料理を江戸時代の古文書の献立を元に再現、現代風にアレンジしたもので、海のない信州特有の食材や保存食を使った、郷土色豊かで滋味深いものです。今回はイベント限定での提供でしたが、大町市内のお店や宿泊施設では、通年もしくは期間限定で提供されています。
 
「塩の道」では、古くから塩や海産物を内陸に運び、内陸からは山の幸(食料に限らず、木材や鉱物も含む)が運ばれました。 日本の各地で、海と山を結ぶかたちで数多くあった塩の道は、現在も整備された形で、生活物資輸送の主要なルートとして残っており、街道沿いには、宿場町、城下町、神社、寺院があり、近年のパワースポットブームもあり、歴史観光ルートやトレッキングコースにもなっています。
 
男女ともに長寿日本一になった長野県ですが、その理由の一つに、豊富に採れる野菜の消費量の多さ、そば粉や豆など健康食と呼ばれるものや、味噌、醤油、しょうゆ糀・塩糀など、植物性の発酵食品が昔から土地に根付いていることなどがいわれています。
 
現在は交通網の整備や流通の発達により、日本全国だけでなく世界中の食材が手に入る時代ですが、土地で採れるもの、手の届く範囲の食材を食べ、様々な知恵を活かし食材を保存・加工し、四季を通じて食をつないでいた昔の人々の暮らしに思いを巡らせた一日でした。 
 
<お祭りご膳お品書き>
■一の膳
・えご:えご(新潟の方では"いご")は、日本海沿岸で採れる、てんぐさの一種であるえご草を乾燥させたものに水を加えて煮溶かし固めたもの
・塩丸いかのなます:塩丸いかは茹でたイカの胴に塩を詰め、足を差し込んだもので、海の無い信州特有の塩蔵食材
・鯉の揚げ煮:鯉は古くからお祝いの席で食べられてきたおめでたい魚で、栄養価に優れ、滋養にも良いとされたため、妊娠中や病後などの体力回復にも食されてきた
 
■二の膳
・ローストディア ワサビと糀のジュレ:信州産の二ホンジカは、繊細な風味を持つジビエとして長く愛されている
・二種サラダ:塩丸いかと寒干し大根のガーデンサラダ、そばの実タブーリのサラダ 
 
■三の膳
・花豆おこわ:花豆は名前の由来ともなっている鮮やかな赤色の大きな花を咲かせるのが特徴で、標高が高く冷涼な土地でのみ栽培される
・凍み大根のステーキ:凍み大根は、極寒の地で生活する人々の知恵で生み出された保存食で、秋の収穫後に土の中で保存された大根を寒中に掘り出し、寒さにさらし乾燥させたもの
・白馬錦粕汁:大町の代表的な地酒「白馬錦」の酒粕を使った野沢菜の粕汁

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祭りご膳一例(右出前から時計回り:粕汁、えご、花豆おこわ、塩丸いかのなます、鯉の揚げ煮)

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二の膳



参考資料:塩の道お祭りご膳 in 銀座NAGANOイベント資料

ジュニア和食マイスター
宮田麻子

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2015年8月28日

夏の台所

記録的な猛暑の今年の夏。
このブログが掲載するころには暑さもひと段落しているのでしょうか。

執筆している今は、夏休みでちょうどお盆の時期ですが、
子供のころの夏休みの記憶の一つに、長野の祖父母の家の台所で、
祖母や母が朝から忙しなくご飯を用意する音と、"夕顔"のお味噌汁があります。
トロっととろける夕顔のお味噌汁を上あごをヤケドしそうになりながら
ふうふう言って食べるのが美味しいのです。夕顔はスーパーなどで見かける
"冬瓜"とともにキュウリやスイカと同じウリ科に属していますが、
この二つは似ているようで実は異なる野菜です。

冬瓜は、夏の野菜にもかかわらず「冬」の字がついているのは、
切らずに丸ごと冷暗所に置けば、冬まで保存できることからつけられたといわれています。一方、夕顔は夏の夕方に開いた白い花が、 翌日の午前中にしぼんでしまうことからその名がつけられたといわれており、生産地以外であまり巷に出回らないようです。冬瓜より食感が柔らかく、干したものは乾瓢のもとにもなります。
どちらも果肉の水分が多いので、汁物や煮物、あんかけなどに適しています。
暑さの厳しい香港では冬瓜のスープは夏の定番で、漢方でいうところのいわゆる
涼性の食べ物とされ、体の余分な熱や水分を取り除き、また、胃腸の調子を高める効能があるそうです。その他にも、水分を補給する効能もあり、喉の渇き、
汗をかいた後に良く、暑い夏にピッタリの野菜です。

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夕顔のお味噌汁

もう一つはお盆のお供え用の天ぷら。
ナス、かぼちゃ、ピーマン、サツマイモなど野菜中心のもので、
揚げたてはもちろん、仏様のおさがりの冷めたものにお醤油をかけて食べるのも
また美味しいのです。このお盆に天ぷらですが、どうもこれは信州や東北の方の
風習らしい...という話を聞いてびっくりしました。お盆の料理は地域によって実にさまざまで、時代とともに形を変えつつありますが、その多くは精進料理から由来したものが多いようです。

精進料理といえば、穀物・野菜・豆類・海藻類など植物性の食材のみを使って作る食事と理解され、出汁に使われる食材は、昆布、干ししいたけ、かんぴょう、切り干し大根、高野豆腐などで、この出汁をベースに、大豆などのタンパク質や、ゴマ・クルミ・植物油などの脂肪、季節の野菜を組み合わせ、各家庭で創意工夫を凝らした精進料理を作っていたそうです。
お盆に赤飯や稲荷ずし、煮物、酢の物や和え物、野菜の天ぷらなどを食べた記憶がある人も多いのではと思います。
(余談ですが...お盆のお供え団子やそうめんと並んでお中元のカルピス詰め合わせも忘れない記憶のひとつ。水玉の包装紙に包まれた茶色い瓶詰のもので、とりわけオレンジカルピスは、もうそれは憧れの存在だったのです。)

先日、長野の田舎から自家農園の夏野菜をたっぷりもらいました。
帰京した頃はちょうど真夏日記録更新中。新鮮なうちに無駄なく美味しくいただきたい一心で意を決して台所に立ち、大量のズッキーニ、パプリカ、ジャガイモ、
ナスなどを調理しました。
夏の台所は暑いので、火を使う料理は避けてしまいがちですが、
(今年はデパ地下のお惣菜の売り上げがアップしているとか)
夏場に敢えて頑張って台所に立ち揚げ物をする、美味しいものをいただくには
それなりの努力が必要ですね。

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採れたての夏野菜


ジュニア和食マイスター
宮田麻子

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2015年8月21日

食事のマナー

食事の際に気をつけておきたいこと。
それは「正しく美しい箸の使い方」ではないでしょうか。
皆さんの箸の持ち方、本当に正しいですか?自信はありますか?
今回は箸の持ち方はもちろん、読んですぐに実践できる箸の作法についてご紹介します。

まずは、箸の持ち方をおさらいしてみましょう。

右手で箸の中央を持ち上げ
左手を箸の下から添えて支える
右手を右端まで滑らせ下に回して持ち替える
上の一本は人差し指・中指・親指(鉛筆を持つように)
下の一本は薬指と親指の付け根で支えます(動かすのは上の一本だけ)
箸先3cmの部分で挟める量(一口)を取りましょう

割り箸の場合は、相手から見えない位置(自分のヒザ上)で割るのがスマートです。
また、箸置きがない場合には箸袋で簡易の箸置きを手作りし、必ず箸置きに箸を戻すようにします。

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箸袋での即席箸置き(台形と千代結び)

さらに箸袋も箸置きもない...。
そんな時は、箸先が相手の方を向かない、なるべく低い位置に置くよう心掛け、折敷(一人用の盆)などの左側の縁に箸先をかけるか一番低い小さい取り皿にかけます。

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箸袋がない場合

次に、箸を使用する際にやってはいけない作法をいくつかご紹介します。

?やってはいけない箸の作法?
(1)渡し箸  器の上に箸を真横に置く=ごちそうさま(終了)を意味
(2)重ね箸  一種類の料理だけ食べる
(3)迷い箸  どれを食べようかと迷い、料理の上で箸をあちこち動かすこと
(4)空箸   一度箸を付けておきながら食べないで置く(=移り箸)
(5)刺し箸  料理に箸を突き刺す
(6)さぐり箸 汁ものなど、かき回して中身を探ること
(7)涙箸   箸先から汁ものなどの汁をたらすこと
(8)ねぶり箸 箸先をなめること
(9)握り箸  箸と器を同じ手で持つこと
(10)寄せ箸  箸で食器を引き寄せること

他にも食事中、ついついやってしまっている所作。
実は和食におけるマナーとしてはNGなんてことも...。
特別な席で恥をかかぬように、普段から心がけておきたいものですよね。

?食事マナーにおけるNG集?
(1)料理を口元に運ぶ際、つい手で受け皿を作ること
(和食は器を持ち上げて頂くか、懐紙を利用しましょう)
(2)折敷の上の器をとる時、左側の器は右手でとらない
(手が食べ物の上を横切ることになり見苦しく、袖を汚したりする)
(3)おかずや香の物をとる時に、ご飯の上にのせて食べる
(ご飯は取り皿ではない)
(4)取り箸がない場合に、直箸では失礼と思い箸を逆さに返して大皿からとる
(手で持っていた所を使うことになるし、箸の両端を汚すことになるので
取り箸用にもう一膳お箸をもらいましょう)

国によって料理により食事のマナーは異なりますが、和食においての基本的なマナーは
「見られてきれいに、作った人が嬉しく感じ、周りに合わせていく」心遣いです。

今回のブログをきっかけに、和食には欠かせない箸について
少しでも興味を持って頂けたら幸い至極です。


(参考資料)
「人生が変わる!食べ方?食事&お酒のマナー」監修 小倉朋子


ジュニア和食マイスター
野菜ソムリエ
江戸東京野菜コンシェルジュ
鈴木規世枝

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