ベジフルライフ・ストーリー〜野菜ソムリエの活躍〜

後藤 麻衣子さん(野菜ソムリエ)

野菜・果物への興味の扉を開いて差し上げる、きっかけ作りの上級者

●平日は事務職員、休日は野菜ソムリエ、二つの顔で365日


アクティブ野菜ソムリエ・後藤麻衣子さん

「野菜ソムリエコミュニティあいち」は、発足直後より、継承者のいなくなった畑を無償で借り、「自由畑」というコミュニティの畑を所有。月に1回、メンバーやその家族が集まり、農業体験をしています

 「誕生日のサクランボ」という答えで、一瞬にして人柄が伝わってくるかのよう。名古屋市在住の野菜ソムリエ・後藤麻衣子さんは、幼い頃の食べ物の記憶について、

「母が果物好きで、いつもおやつは季節の果物。6月生まれの私の誕生日には、たくさんのサクランボを買ってくれました」

と、微笑むような声で話してくれます。

現在、「野菜ソムリエコミュニティあいち」の副代表も務める後藤さん。普段は、法律事務所で事務職として働きながら、主に土日を利用して活動する野菜ソムリエです。以前から漠然と「食」に興味があったと言う、後藤さん。毎晩残業が続く環境で趣味さえ持てずにいた前職時代を経て、転職を機に、趣味の食の分野へ。2007年に野菜ソムリエに合格後、地元・愛知のコミュニティ創設メンバーとして野菜ソムリエの活動をスタートさせました。

コミュニティを中心に、外部から依頼される仕事も増えてきた、後藤さんのこの4年間。現在、野菜教室やカルチャースクールの講師、商業施設でのイベントやラジオ出演など幅広い活動を行っていますが、その全てに共通して感じられる後藤さんらしさと言えば、「常に謙虚で、相手と同じ場所に気持ちを置いて伝える姿」。それは、後藤さん自身の温もりある人柄はもちろん、現在も「平日は事務職員」と「休日は野菜ソムリエ」と言う二つの顔を持っているからこその強みのようにも感じられます。



●代表作は、誰でも気軽に作れるプチレシピ


野菜ソムリエになり、「人生で初めて経験することも増えた!」と言う後藤さん。中でも、大勢の人を前に、トークと調理も披露した「クッキングショー」は、特に印象的だったそうです

2011年2月に、コミュニティの有志により制作されたレシピ本でも、手軽に作れるレシピを中心に21種類ものレシピを発表。「本というカタチに残るお仕事ができたことは、大きな財産です!」

生活者の視点に寄り添った、優しく自然な提案が上手な後藤さん。もちろん、それはレシピ作りにも表現されています。後藤さんの得意なレシピは「炊き込みご飯」と「ジャム」。その理由を聞くと、

「炊き込みご飯は、いろんな食材を入れることのできるバランスの良さがポイント!スイッチひとつで炊飯器がパッと美味しく仕上げてくれる点も、優秀ですよね」

コミュニティで一番のレパートリー数を誇るジャムレシピについても、

「旬の美味しさを長期保存できることはもちろん、食材を切ってお鍋で煮るだけでの手軽さが魅力です」

と、こちらも簡単レシピをアピール。今では50種類のジャムレシピをストックするほどです。中でも後藤さんの代表レシピとして知られるのは「セロリのジャム」。苦手な人が多いセロリも、他の食材と組み合わせジャムにすることで独特の風味が和ぎ、ヨーグルトとの相性も好評。2011年2月に、コミュニティメンバーが集結して制作されたレシピ本にも掲載されました。

「私は、難しいものは苦手。簡単なものが好き」と話す後藤さん。その言葉の背景には、自らもそうであったからこその、忙しい生活者の日常もしっかりインプットされているかのよう。

「毎日の食事でより豊かな日常を送れるように、そのきっかけ作りをお手伝いできたら・・・」

この言葉からも、彼女らしい野菜ソムリエとしてのスタンスが伝わってくるようです。



●夢は、野菜・果物を通し、発見と笑顔を差し上げつづけること


「今日食べた初めての野菜・品種を買ってみよう!周りの人に教えよう!」「いろんな種類を、お店でじっくり探してみよう!」など、後藤さんが伝えるメッセージは、いつも日常の買い物シーンに繋がっています

難しく考えるのではなく、まずは「感じて発見して楽しんでもらうことが大事」と、普段の食卓で身近な食材であっても、受講生の方をあっと驚かせる演出に、力を注ぎます

後藤さんが大切にしている想いは、もちろん野菜教室などの講座でも、しっかり表現されています。「特に、食べ比べの時間には想いを込めます」と語り、実際のお買い物シーンもイメージした食材選びで、毎回工夫を凝らします。

「とかく、普段のお買い物が『安いから買う』という選択になっている人は多いですよね。そんな方へ、私は食べ比べの時間で、自分の好きな味や食感や香りを覚えて帰ってもらいたい。毎日の買い物をより楽しめる情報や感覚を持ち帰ってもらえたら嬉しいです」。

これまでも、食用のほうずきや菊、アイスプラントなど、普段の買い物ではなかなか手を出しにくい食材を中心に紹介してきた後藤さん。「皆さんの驚きと笑顔が何よりのご褒美」と、アットホームな雰囲気に少しエンターテイメント性も加えて、後藤さんの食べ比べの時間は創られていきます。

そして、「将来はどんな野菜ソムリエに?」の問いにも、人柄を表わすかのように温かい夢をお話してくれます。

「これからも、ずっと肩ひじ張らずに私らしく。その先に、いずれフルーツカッティングも本格的に勉強し、小さな教室でも持てたらいいなと思っています。今の食べ比べの内容にエッセンスを加え、より驚き・発見を伝えていけたら・・・。野菜ソムリエとして、多くの笑顔を作って差し上げたいです」。




○かたつむりの楽しみ~ときどきベジフル~
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文:野菜ソムリエ 神林春美
写真提供:後藤麻衣子さん