ベジフルライフ・ストーリー〜野菜ソムリエの活躍〜

朝岡 せん さん(野菜ソムリエ)

名前に込められた「自然」の世界を、食と人生で表現

●かけがえのない野菜ソムリエ仲間と、レシピ本を完成


野菜ソムリエ 朝岡せん さん
(アクティブ野菜ソムリエ認定)

 自然の「然」の字に由来して名付けられたという、『せん』という名前。

「祖父が付けてくれたこの名前に、今は不思議な縁を感じています。野菜ソムリエになって、野菜や果物そのものが人間の五感に放つ力に心奪われるようになったと実感!自然が生んだ色や形からも、私は驚きや感動を伝えたいと思っています」。

 名古屋市在住のアクティブ野菜ソムリエ・朝岡せんさん。「子育ても手をかけすぎない。ある意味、自然農法です!」と笑う姿は、とても自然体でチャーミング。


完成したレシピ本には13種類のレシピが採用。「あえてオススメを言うなら、『木の山芋のアイス』と『梨のスープ』」

 昨年夏には、野菜ソムリエコース名古屋第4期生の同期であり「野菜ソムリエコミュニティあいち」代表の高木幹夫さんの声かけで、6人の野菜ソムリエが集結!季節ごとの旬をテーマにした野菜のオリジナルレシピ本を今年2月に出版しました(※1)。

「私が担当した季節は秋。愛知の地元野菜『木の山芋(このやまいも)』を始め、いちじく、梨、きのこ、れんこんを使ったレシピを、1ヶ月半ひたすら考え続けました。味や食感の微妙な違いに自分なりの答えを出すため、何度も試作を繰り返す毎日。この仲間で、レシピ本を制作できたのは、本当に良い記念です」



●小さなことからコツコツ始め、今では生産者取材もライフワークに


これまで、ほうれん草・かぼちゃ・ブロッコリー・きのこなど7品目9回の野菜教室を担当。「私も一緒になって楽しんでいます!」

野菜教室で食べ比べをする食材を調達することも、大切な仕事。多い時は10品種程をご紹介する時もあるとか。

「どちらかと言えば、流れを受け入れ進むタイプ」と、自らを見つめる朝岡さん。合格後も資格の活かし方に迷っていた時期、協会名古屋支社スタッフのアドバイスに背中を押されたことで、外での活動を始めるようになったと言います。

 始めの一歩は、人前に立って話す訓練から。まずはジュニア野菜ソムリエコース説明会で食べ比べの時間を担当。回数を重ね人前で話すことにも慣れると、「野菜教室をやってみませんか?」と2時間の講座を受け持つことになります。

 そして、その野菜教室をきっかけに、朝岡さんは取材の経験も積むように。

「生産者の方を自分で探し現地へ足を運ぶことが、私のポリシー!受講くださる方には"五感"を使って野菜・果物に触れてほしいと思うからこそ、作り手の顔や想い、畑や周りの風景も、まずは自分の肌で感じることが大切だと思っています」

と語ります。


「まさに、桃のような薫り・みずみずしさがあります」と言う、朝岡さん注目のイチゴ『桃薫』

 その中でも、朝岡さんが特に印象的だったのは、イチゴの品種開発者・野口裕司さんを訪ねた取材。

「『桃薫(とうくん)』という野生種を複雑に組み合わせた珍しいイチゴの品種を知り、その生みの親・野口さんを訪ねました。品種数の多いイチゴの中で、『どう差別化していくか?』というマーケティングにまで話が及ぶ貴重な体験でした」。



●薬膳を取り入れた料理で、健康と癒しを贈りたい


薬膳カフェ『MIL.(ミル)』のある日のメニュー。ミルとはスペイン語で「千(せん)」の意味。毎回、メニューに食材の薬膳知識を載せてご案内。

野菜や果物が持つ色や香りの持つチカラも伝えたいと言う、朝岡さんの薬膳レシピ。「お皿を見た方の『おっ!わぁ〜!』という驚きが嬉しい!」。

 現在の朝岡さんを語る上で、「薬膳」というテーマも欠かせない食のライフワーク。10代の頃から医療に漠然と関心があり、看護師や言語療法士を目指そうと思った時期もあったと言う朝岡さん。

「医療や治療なんて大それたことは言いません。ただ、私の手から生み出されるものから、人に喜びや豊さを手渡しできたら充分幸せ」と、薬膳についても通信教育で勉強。薬膳レシピも考えるようになった頃には、名古屋市のNPO団体が運営する貸しスペースにて、お食事と焼き菓子の店『MIL.(ミル)』(※2)をオープンすることになります。

「月に1回、野菜を中心とした薬膳ランチを提供し、メニューの考案から仕込み、調理、サービスまで全て自分一人で担当しました。心掛けていたのは素材の力を信じたシンプルながらも手間をかけたメニュー。帰り際、お客様から『ほっとするランチでした』『なんだか癒されましたよ』と声をかけられると、心が震えるような嬉しさを感じました」。

 ご自身の雰囲気も、そしてお料理も、いつ何時も自然体で存在している印象の朝岡さん。「直感や縁を大切に、流れを素直に受け入れていくのが自分らしさ。これからも、その流れの中で、食を通じて自分なりの表現をしていきたいです」と語る姿からは、名前に込められた「せん(自然)」の世界が、ふと垣間見れるようです。



(※1)『旬野菜を楽しむ"げんきの郷"オリジナルレシピ』(発行:株式会社 げんきの郷)
(※2)薬膳カフェ『MIL.(ミル)』は、運営側のNPOの都合で2011年3月に閉店。現在は、少人数制の野菜と薬膳の料理教室を主宰しながら、出張カフェやケータリングも行っています。





○muy bie〜n♪ 〜鼻炎さんの日々〜
http://ameblo.jp/mil-1000/

文:野菜ソムリエ 神林春美
写真提供:朝岡せん さん