ベジフルライフ・ストーリー〜野菜ソムリエの活躍〜

篠原 久仁子さん(野菜ソムリエ)

空間演出でベジフルライフ普及を推進

●場の空気を演出するプロフェッショナル


野菜ソムリエ 篠原 久仁子さん
(アクティブ野菜ソムリエ認定)

 「新進気鋭」。今その言葉の一番似合う野菜ソムリエこそ、野菜ジャーナリスト篠原久仁子さんでしょう。

 篠原さんは2009年5月末にマイスター資格取得後、ブログで農業の現場を独自取材した情報発信を開始。それが偶然、「マルシェ・ジャポン・キャラバン in つくば」主催者の目に止まり、同イベントにコーディネーターとして参加することになります。農業の現場を知り、野菜・果物に関する知識も豊富な篠原さんは、生産者と主催者側を結ぶ通訳としての役割を果たし、イベントが円滑に進むよう尽力しました。

「関わる人たちが気持ちよく仕事ができる雰囲気をつくれば、その場は自動的に動き出します。その空間を演出するのが私の仕事です」




「生産者の言葉を直接伝えたい」という想いが実現したトークショー

 そう話す篠原さんが企画した生産者とのトークショー「農家さんが語る おいしい時間」は大好評。篠原さんの司会進行で、農家の方々から面白い話がたくさん飛び出しました。

 その実績が買われ、各地のベジフル関連イベントに企画立案やナビゲーター役として次々と参加します。また、テレビ番組(※1)の企画・ブレーンとしてメディアの仕事にも加わり、資格取得から半年足らずで一気にキャリアを積み上げました。

「自分ができることを多くの人に発信していただけ」と謙遜する篠原さん。その積極性が評価され、早くも昨年末にアクティブマイスターの認定を受けました。まさに活動的な野菜ソムリエです。



●自分の強みを気付かせてくれたマイスター講座


場の空気を演出する力は、講演でも十分に発揮されています

 篠原さんが野菜ソムリエを目指したきっかけは、意外や意外「婚カツ」でした。
 2007年、篠原さんは長野県の農村部で暮らす御祖母の介護を手伝うため、それまで勤めていたテレビ番組の製作会社を退職、長野と東京を行き来する生活送っていました。その環境の中で「結婚しても生かせる日々の暮らしに役立つ知識を身につけたい」と思い始め、ジュニア野菜ソムリエ講座に通い始めます。

「仕事にするつもりはなかった」という当時の篠原さんですが、受講するに従い農業や野菜・果物に携わる仕事に深い関心を持ち始めます。やがて、マイスター講座のマーケティングの授業で、篠原さんは今まで意識していなかった自分の強みに気付きました。



東京ビッグサイト・スーパーマーケットトレードショーにて。イベントなどで培った人脈も躍進のきっかけです

「私は料理やレシピ開発はそれほど得意ではないため、野菜ソムリエの活動は難しいと思っていました。でも、商品一つ一つに売りがあるように、私にはテレビの制作現場で培った『場の空気の演出』や『取材力』という売りがある。これを生かせば生産者と生活者の幸せのため、できることがあると直感したのです」

 試験には一発合格。『野菜ジャーナリスト・篠原久仁子』誕生の時です。
 婚活から始まり期せずしての転職となりましたが、現在は月に一度は必ず長野を訪れるようにスケジュールを組んで御祖母の畑仕事を手伝い、その時間も大切にしながら活動を続けています。



●楽しい空間が生み出す、たくさんの人たちの結び付き


取材先でも農作業にトライ。実体験から生まれる言葉が大切

 ところで、野菜ジャーナリストとはどんな仕事でしょう? これは篠原さんがマイスター取得後に自ら作った、世界に一つだけの肩書きです。つまり野菜ジャーナリストの仕事とは篠原さんの活動そのものを表します。

「現場から感じた『野菜・果物と共に生きる幸せ』をわかりやすく伝えたいという想いで、現在は『野菜果物を中心とした食に特化したコーディネーター』としての仕事を中心に活動しています」

 そう話す篠原さんの活動はさらなる広がりを見せて、今年は4月からはNHK学園のカルチャー講座を担当、毎月多くの人に話をする機会を得ました。
 また、言葉どおり「ジャーナリスト=記者」として、執筆の仕事にも力を入れます。伝統料理・食材の魅力を書いた連載が雑誌で開始予定。また新聞社の仕事に携わる機会も増え、さらなる取材力・文章力を磨いています。


「これまでは単発のイベントなどで想いを伝えることが多かったのですが、これからは継続してメッセージを発信できる仕事にも力を入れて生きたい」

 さらに多くの人に想いを伝えるべく、篠原さんは意気込んでいます。



●「自分にしかできない」、だから今の仕事がある


「今の仕事は私にしかできないこと」篠原さんは胸を張って話します

「会社員時代の経験、長野で祖母と過ごしながら畑仕事に携わる時間、野菜ソムリエの知識など、全てが半年の間でタイミング良くかみ合い仕事に繋がりました。最初はラッキーと思いました。でも今では『私にしかできないことだから今があるんだ』という使命感を感じています」

 偶然で今があるように話す篠原さん。しかしその偶然は様々な経験を積んでいたからこその「必然的に生まれた偶然」です。

「農家さんの話、地方の食、私の経験。世の中には掘り起こせば価値が生まれるものはたくさんあります。そして私の演出でそれらを絡め、そこにしか生まれない魅力を作り出していきたい。それが私のマイスター道です」

 私たちにとって自分だけができることとは何でしょうか。
 場の空気という目には見えないものを演出する篠原さん。もしかしたら篠原さんはこのインタビューを通して、私たちが自らの活動をあらためて考える「場」を演出しているのかもしれません。


(※1)テレビ朝日「地球号食堂」




○野菜ジャーナリスト篠原久仁子 公式ブログ「お野菜コミュニケーションな日々」
http://yasai-journal.com/

文:ジュニア野菜ソムリエ 橋本哲弥
写真提供:篠原久仁子さん 撮影:橋本哲弥(東京ビッグサイト風景(撮影協力:農経新聞社))