菜果図録
菜果図録Vol.71 三つ葉

Vol.71 三つ葉

江戸時代から愛されてきた和風ハーブ 三つ葉

江戸時代から愛されてきた和風ハーブ 三つ葉

 今年のお正月のおもてなしには、どんな野菜を使いましたか。金時にんじん、れんこん、大根、里芋、たけのこ・・・そして、お雑煮の彩りやお吸い物の吸い口に欠かせないのが三つ葉ですね。
 セリ科ミツバ属に分類される三つ葉は、鮮やかな緑色と特有の香りから、春の訪れを告げる食材として、古くから愛されてきた香辛野菜。かつては自生のものを摘んで利用していましたが、江戸時代の元禄年間に栽培が始まり、享保年間には日光を遮って育てる軟化栽培がすでに行われていたのだとか。「農業全書」(1697年)には「みつばぜり」の名で栽培法や食べ方が登場。食用とされているのは日本と中国のみで、いわば東洋のハーブともいえる存在です。
 スーパーなどでよく見かける、根元にスポンジが付いた「糸三つ葉」は、水耕栽培により一年を通じて生産され、茎まで緑に色づいていることから「青三つ葉」とも呼ばれます。畑の土を寄せて軟化栽培し、根元をカットして出荷される「切り三つ葉」は、茎が白いところから「白三つ葉」とも呼ばれ、12月から1月が収穫のピーク。根つきのまま収穫される「根三つ葉」は、切三つ葉と同様に軟化栽培された白く太い茎が特長で、露地栽培のものは3月から4月にかけて旬を迎えます。
 北海道から沖縄県まで全国各地で生産されている三つ葉。農林水産省が発表した平成25年産の収穫量によると、第1位は千葉県の2,910トン、第2位は愛知県の2,630トンで、この2県だけで日本の総収穫量の1/3を超え、以下、茨城県、埼玉県、静岡県、大分県と続きます。

香りを楽しみ 情緒を愛でる

 三つ葉ならではの香りはミツバエンやクリプトテーネンなどの成分によるもので、ゆですぎると香りがとんでしまい、色や食感も悪くなるため、加熱の際は、さっと湯にくぐらせる程度にとどめます。長時間、熱い汁に浸しておくだけでも、香りが薄れるので、吸い口に添えるなら食べる直前に。
 お吸い物などのあしらいには、結び三つ葉がおすすめです。2、3本の三つ葉の葉をつまみ、茎だけをさっと湯にくぐらせ、冷水にとって冷まし、茎をひと結びすれば出来上がり。茎が長いときは、半分に折ってから結びましょう。椀だねの上に添えるだけで、日本料理の伝統とおもてなし感を演出できます。

 三つ葉の香りを思う存分に楽しむなら、生のままサラダがおすすめ。シャキシャキとした食感とともに、口の中いっぱいに爽やかな香りが広がります。

【野菜ソムリエおすすめレシピ】三つ葉と鶏ささみのサラダ
3cmの長さに切り、酒と塩を加えてゆでて手で裂いた鶏ささみ、ちぎった焼き海苔とともに、わさびしょうゆ、酢、オリーブオイルを合わせたドレッシングで和える。

残った根元でリサイクル栽培

 糸三つ葉や根三つ葉を切る際、茎を3~4cmほど残しておき、リサイクル栽培を楽しんでみませんか。
グラスやジャムの空き瓶に入れ、スポンジまたは根が浸る程度に水を注ぎ、4、5日してかわいい新芽が出てきたら日の当たる窓辺へ。
栽培のポイントは、傷みやすい茎まで浸からないように水の量を調節することと、根が腐らないように水を毎日替えること。薬味に添えるほどの量ですが、再収穫が楽しめますよ。


文 / 写真撮影:野菜ソムリエ 堀基子