野菜ソムリエの思ひ出の味
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プロに評価された「じゃがいものタルト」

野菜ソムリエ星昭一さんの思ひ出の味

 北海道剣淵町で、農業技術等の専門指導を行う普及指導員をしていた頃の話である。「2005年 絵本の里けんぶち夏まつり」の中で、「じゃがいも料理コンテスト」が開催されることとなった。当時は初回のためか応募者が少なく、イベント事務局のひとりだった私にもレシピを出してほしいと相談が持ちかけられた。
432_memory.jpg  じゃがいもの産地である剣淵町では、農家さんを訪ねるとじゃがいもをいただく機会が多く、「おいしい食べ方や、新しい食べ方があれば教えてほしい」と農家さんから逆に聞かれることもしばしばあった。そのコミュニケーションから、お菓子にすると食べ方の幅が広がるのではないかと思いつき、考案をしたのがコンテストに応募したレシピ「じゃがいものタルト」である。じゃがいもはお菓子に使うと、その特有の香りがプラスにもマイナスにも働く。また、品種の選択や、つぶし加減によって口当たりも大きく変わってくる。何度も試行錯誤を重ねてやっと完成したのがこのレシピである。

 料理コンテスト当日は、応募者たちがレシピを再現した料理を持ち寄り、審査員のみで試食審査が行われた。後から聞いた話だが、集まった22レシピのうち、審査委員長が「イチオシ!」と評価していたのは、なんと、私が応募した「じゃがいものタルト」だったそうだ。審査方法は、応募者の名前をふせた目隠しスタイル。審査委員長は、地域では有名な和食料理長で、仕事を通してお付き合いがある方だが、私がつくった料理とは勿論知るよしもない。しかし、事務局の人間が最優秀となるわけにはいかず、受賞対象から除外されたのだった。受賞を逃したのは残念だったが、プロの料理長からの「バランスが良い。作り方が簡単で、一手間加える程度で町のお菓子屋でも加工・商品化ができるような発展性がある。」と評価がされたことがとても嬉しく、今も強く印象に残っている出来事だ。

 料理をつくって人にふるまうことは元々好きだったが、この出来事を機に、自分の料理に自信が持てるようになり、レシピを考えることも好きになった。その後、仕事に役立ち、自分自身にもプラスになるのではと、野菜ソムリエの資格を取得。当初は、野菜ソムリエであることを強調しようと肩に力が入っていたが、今は自分らしさを大事にして自然体で活動している。

高田勲さんのプロフィール
北海道在住。アクティブ野菜ソムリエ、調味料ジュニアマイスター、ジュニア・アスリートフードマイスター。本業は普及指導員(北海道職員・農業改良普及センター勤務)。野菜ソムリエ活動は本業でも能力を発揮する機会が増え、野菜ソムリエ講座講師とコミュニティ、6次産業化支援を主な活動とし、野菜・果物を知る驚きと楽しさ、その素材の美味しさを伝えることが自分の喜びになっている。
取材 / 文:野菜ソムリエ / ベジフルビューティーアドバイザー タナカトウコ