よつばちゃんの食を楽しむ取材ノート。

2015年1月 7日

古町糀製造所が伝える、古くて新しい糀のちから(前編)

お正月、神社などでふるまわれる甘酒。
冬に飲む印象が強い甘酒ですが、じつは俳句の世界では「夏」の季語として用いられています。その理由は、江戸時代に食の細くなりがちな夏に好んで飲まれていたからなのだとか。

今号では甘酒造りの肝となる「糀」の魅力について、株式会社和僑商店の葉葺(はぶき)社長にお話を伺ってきました。

まず初めに、そもそも糀とは何? ということから教えていただきましょう。

糀とは「蒸した米、大豆、麦などの穀物にコウジ菌を繁殖させたもの」なのだそう。ちなみに「こうじ」という漢字には「麹」と「糀」という二種類の表記があり、前者は中国から伝わった漢字で、後者は日本で作られた国字なのだとか。

世の中ではまだ糀が注目されていなかった2007年、葉葺社長が糀を知り、着眼したきっかけは何だったのですか?

「古町糀製造所を始める前から営んでいるおむすび屋で、おむすびに合う素材を探していた際に糀に出会いました。発酵食品、中でも抜群の栄養価を持ち、米本来の甘みを引き出すことができる糀。米どころ新潟県出身としてその魅力を世の中に伝えなくては! と使命感のようなものを感じていた時です。偶然お世話になっている方から、米を使った事業で新潟県の寂しい商店街を元気づけて欲しいという依頼をいただきました。『甘酒屋なんかどうだろう?』という提案を受け『これだ!』と思い、2009年、古町糀製造所を開業店しました。」

なるほど。そんな運命的なストーリーがあったのですね!
糀を使うものには味噌や、漬物、甘酒などがありますが、古町糀製造所で主に製造されているのは甘酒です。甘酒とひとくちに言っても、2種類あるのだと葉葺社長は教えてくれました。1つは酒粕に砂糖を加えて作るもの、もう1つは砂糖を加えず糀のちからで米本来の甘みを引き出すもので、アルコール成分はゼロ。古町糀製造所で製造している甘酒は後者です。

使用している素材はなんともぜいたく。おむすび屋から始まった会社とあって、使用するお米は国産で、ご飯として食べてもおいしいということが判断基準。いわゆる加工用に使うお米は使わないのだそう。さらに酒蔵が豪雪地帯に位置することから、甘酒に使用する水も米を洗う段から、雪解けからくる豊かな湧水を使用しているのだとか。

ところで、最近美を導く食材としても糀は注目されていますが、そのように言われる所以はどこにあるのでしょうか?

「糀はブドウ糖、すべての必須アミノ酸、葉酸などのビタミン類をまんべんなく含んでいることで代謝を促進し、また整腸作用が肌を美しくする効果があるのではないか」とのこと。甘酒はその栄養価の高さから「飲む点滴」とも呼ばれています。江戸時代には、特に出産前後の女性に積極的に甘酒を飲ませるとよいと言われていたそうです。古来よりその効果は人々の実体験から立証済みだったのかもしれません。

ところで甘酒、勝手なイメージですが製造するのはとても手間暇を要しそう。

いえ! 意外にもその製造工程はとてもシンプル。
蒸米のデンプン質を水、糀、を加え、一日かけて糖分にする「糖化」という作業をするのだそう。時間こそかかれど、材料も作り方も非常にシンプルなので、古町糀製造所で働いている方の中には自宅で手作り甘酒を作っている方もいらっしゃるそうですよ。

現在、伝統的な糀ドリンクは若い人には新しく、昔を知る人には懐かしい、ということで世代を問わず多くの方から支持を受けているのだそう。

古町糀製造所の糀商品が支持されている理由は商品の味わいだけではなさそうです。 というのも、古町糀製造所の店舗や商品1つ1つのパッケージデザインを見れば一目了然。

このモダンなデザイン!

発酵食品は全般的にどこか古いイメージがありますが、古町糀製造所のデザインを見ればそのイメージは払拭されます。それもそのはず。パッケージデザインの参考にしたのは、スタイリッシュなコーヒーショップ、スターバックスコーヒー。店舗の店構えもとても美しいのでご注目ください! 商店街を盛り上げるための一環として、お店の外観にもこだわったのだとか。シャッターを閉めても美しいようにと工夫をほどこした店舗のデザインは、2010 NIGATA ショップデザイン賞も受賞されたそうです! 若い人に支持される理由も納得ですね。

コーヒーのかわりにちょっと甘酒、という気軽な感覚で糀ドリンクを飲めたら、いつもと違った気分転換ができそうですね。


昔からある糀が今、あらためて注目を浴びている理由がわかった今回の取材。次回の後編では、自宅でも気軽に試せる糀の楽しみ方をお届けします!お楽しみに!

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