よつばちゃんの食を楽しむ取材ノート。

2014年12月17日

東京生まれのキウイフルーツ「東京ゴールド」

季節を問わず、ほぼ一年中手に入る果物があります。バナナ、グレープフルーツ、パイナップル等。流通する多くを海外産に頼っている果物が、ここに挙げられるでしょうか。キウイフルーツも年中手に入るので、いわゆる旬の時期が分からない人も多いとか。ということで、声を大にして言います。

「キウイフルーツの収穫期は秋」。

秋に収穫した後、必要に応じて追熟をさせ翌年の春まで出荷が続きます。ニュージーランド産が有名な感がありますが、秋から春にかけては、国産物も多く出回ります。生産量の上位県には愛媛県や福岡県がありますが、東京都でも多摩地区を中心に栽培されています。しかも、東京都内で誕生した品種があるのです。

その名も「東京ゴールド」。なんともまばゆい名前、食味もよいとの噂。しかも、ある生産者の自宅で発見されたというじゃありませんか。百聞は一見に如かずとばかりに、現地に出向いてまいりました。

東京は小平市にある中村園です。なんと江戸時代から続く農家で、今回話を聞いた中村利行さんが11代目に当たります。年間を通じて多品目の野菜・果物を生産、今回目当てのキウイフルーツは、元々自家用に作っていたのだそうです。20以上前に、通常とは異なる特徴を持った実を発見し、東京都農林総合研究センターとともに繁殖、特性調査に従事し、「東京ゴールド」と命名されました。品種登録は2013年7月29日と、デビューしたての品種なのです。

東京ゴールドを実らせたこの木、面白いのが、じつは間違ってやってきたものだということ。キウイフルーツは一本の木単独では果実をつけることができず、雄と雌の木の両方を必要とします。そこで雄木を注文したはずが、届いたのは雌木だった。そのことに気づいたのは購入後、何年も経ってからだったそうです。販売目的で栽培しているのであれば、すぐさま切ってしまうところですが、趣味で植えていたものだからとそのまま植え続けていたのです。幸いにして難を逃れた木から東京ゴールドが誕生したというから、アッパレ!と言いたくなりました。

写真左に写っている木が、当時は名もなき現・東京ゴールドが発見された原木です。キウイフルーツの木の経済寿命は20年ほどだというので、もう老木と呼んでもよいのかもしれませんが、まだまだ現役、たわわに実らせていました。一枚目と二枚目の写真、それぞれに写っている木の太さを見ると一目瞭然ですが、原木の幹が太いこと。ここからも歴史を感じることができますね。

ところでこのキウイフルーツ、何が個性的って、この形。なんだかユニークなフォルムです。ほかの品種とも比べてみました。

下が、一般的に流通する緑色の果肉の「ヘイワード」、左上が通称アップルキウイの「センセーションアップル」、右上が「東京ゴールド」です。一般的には断面図がハート型に似ていると称されますが、こうして見ると涙型にも見えてきます。

果肉はきれいな黄色です。では、食べてみましょう。試食したスタッフが同時に

「おいしい!」

と軽く叫びました。しっかりと甘みがありますが、甘すぎると感じないのは、ほのかな酸味のなせるわざ。果肉はやわらかめでしょうか。1個の大きさは「ヘイワード」よりも小ぶりながら、しっかりと「食べた感」に浸れる充実の味わいです。

その年の気候にもよりますが、中村園での収穫時期は11月中旬。キウイフルーツは樹上で完熟しないので、収穫したものを一旦保冷庫に保存し、販売する分を都度出しては追熟させ、販売しています。ちなみに昨年は、たくさんのメディアに取り上げられたこともあり、販売後、あっという間に完売したそう。

東京ゴールドの生産者は、東京都内を中心にじわりじわりと増えていますが、広く流通するのはまだ少し先になるかもしれません。気になる方は、ぜひ多摩地区に出かけ、産直所などをめぐってみるのもおすすめです。

取材協力/中村園 http://goldkiwi.tokyo/

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