「カレー探訪」byカレーマイスター養成講座

2011年3月25日

『食の日』コラム 「食べず嫌い」をスパイスで克服

prof1103.jpg伊能 すみ子
食べ歩きに魅了され、レストランやスイーツにも精通することから、気象番組ディレクターを経て、季節の旬食を表現する仕事へ。世界中の料理の良さを広げるため、Webを中心に執筆活動中。

「野菜なんて、いらな~い!」
この言葉は、30年以上前の私の心の叫びです。
食卓には、大好きな肉や魚があれば満足なのに、その隣には必ず野菜が添えられていました。"サラダ"と言うより"生野菜"と表現した方が似合っていた時代で、野菜の中でも強敵だったのが、真っ赤に輝くトマトでした。
グチュとした見た目に青臭さが漂って、まともの直視することができなかったくらいです。
皿の上でひと際艶やかな光を放っている姿に、私が勝負に挑むことはありません。いわゆる「食べず嫌い」なのです。
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大人になっても、相変わらずトマトには負け試合ばかり。そこで、私は苦手な野菜を克服する方法として「カレーに入れて、存在をなくす。」という方法を実践していました。
野菜嫌いの多くは、食感や味わいすべてを否定します。なので、いかに食感、香り、味わいを消し去るかが勝負の境目となるのです。
その攻略のアイテムとして大活躍してくれたのがスパイスでした。
トマトがナス科に属するように、スパイスでは、レッドペッパー、パプリカが代表的なナス科の植物で、カレーには欠かせないものとなっています。
その魅力はなんといっても香り高さで、苦手だった青臭さを解消!
トマトを崩すことでルーに馴染んでいき食感をなくす!
スパイシーな辛さを利用して味わいを緩和!
など、スパイスの特徴を活かしたトマトカレーは、私の中で大ヒットとなりました。
さらに、使用する野菜もナスやジャガイモと、ナス科の仲間で揃えたら最高です。
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カレー料理とトマトの融合には様々な形があります。せっかくその魅力を知ったのですから、活用しないともったいない。
本場インドでも、トマトは欠かせません。コロンブーという酸味が特徴のカレーのベースとなるソースにも、トマトが使われています。タマリンドというマメ科の植物と一緒に使うと、とっても爽やかな風味を醸し出してくれます。
またラッサムという、日本では味噌汁のような存在のスープにもトマトが大活躍です。
インドで生産されているトマトは酸味も強いので、一層トマトの良さを感じることができるでしょう。
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そんな身近なトマトも、近年インドでは遺伝子組み換えの開発が盛んに行われています。熟成に関係する酵素を制御する遺伝子操作が可能になり、45日間も軟化を遅らせることができると、インド国立植物遺伝子研究所によって昨年、発表されました。そこまで操作をして、トマトの鮮度を維持させてしまうなんて、自然の恵みに逆らっているようで、ちょっと考えさせられてしまいます。
ちょっと固い話になってしまいましたが、トマトのおいしさを知ったからこそ、日本で生産されるトマトの素晴らしさをより感じることができると思います。


野菜の好きな方には、なんでもないことでも、苦手なものがあるということは、それだけ食べられる料理が限られてしまうということです。
私はスパイスによって、料理の幅が広がり、今ではカレーの魅力をお伝えする側となって、改めて、食の大切さを実感しています。きっと、まだ野菜の良さを感じられない方が多くいるはずです。そんな方のために、トマトをはじめとする野菜の魅力をカレーやスパイスを通じて、広げられたらと思います。これは、克服した私だからこそ伝えられることなのです。
注:掲載されている野菜の写真はイメージであり、遺伝子組み換えと関係はありません。

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