「ふくらむふくらむ」byパンアドバイザー養成講座

2015年11月16日

ちょっとだけ サイエンス オブ パン 〜パン焼成時衝撃法による萎み防止の解析〜

 ホームベーカリーで朝食用の食パンを焼いていますが、パン型の内側に傷をつけてしましました。そのパン型で焼くと、傷に接触している部分が焦げてはりつき、取り出しに苦労します。見た目も悪いので、パン型だけ新しくしました。

しかし、新しいパン型で焼いた食パンは、焼成直後の出来は同じなのに、しばらくおいておくと萎んでしまうのです。焼きむらがなく取り出しもスムーズなのですが、型から出してしばらくするとペシャンコになってしまうのです。がっかりしてしまいました。

 

 そんなあるとき、行きつけのパン屋さんでその話をしたところ、「焼きあがったら型をパンパンと軽く調理台に落とすと萎みが軽減する。」と教えてくれました。さっそく家で試したところ、ほとんど萎まなくなりました。よくよく考えてみると、以前のパン型は始めから若干離れが悪くて数回調理台に打ち付けてから取り出していました。新しいパン型は何の抵抗もなくするっと抜けるので、衝撃をまったく与えていなかったのです。

 

 でもなぜ焼き上がりに衝撃を与え萎みが防止できるのでしょう?

 

 ネットで調べたところ、衝撃でパン内の熱い空気が飛び出し、周囲の空気が一瞬にして入り込むことで、その後の急激な温度低下によるパン内の空気の収縮が抑えられて萎みを防ぐことができる、とのこと。この説を裏付けるべく、簡単な検証実験をしてみました。

 

 食パンが焼きあがってすぐに表皮から深さ5mmの温度を測りました。86℃でした。調理台に打ち付けて測ると83℃、型から取り出して測ると82℃、それから30秒ごとに記録すると、84℃、84℃、83℃、83℃、82℃、81℃と後はただ下がっていきました。

 何もしないで取り出しただけなら、パンの温度はただ下降線をたどるはずです。しかし、調理台に打ち付けたパンの内部温度は、その衝撃で一気に34℃下がり、その30秒後に2℃上昇、その後はゆるやかに低下する、という上昇の揺れ戻しを経てから下降線をたどっています。衝撃で急激に低下、しかし内部から発散してくる熱気でいったん上昇、その後はゆるやかに常温に近づいていくという経過になります。衝撃を与えたことで、内側の熱い空気が一気に飛び出し、さらに内側の熱い空気の逃げ道が確保されたことでみが防げたのですね。

 

パンについて理解が深まるたびに、パンにはサイエンスが詰まっていると感心します。今回はアカデミックな気分で、論文のテーマみたいな題をつけて気取ってみました。


151116.jpg

焼きあがった食パンの表皮近くの内部温度を測定し、経時変化を観察しました。


パンアドバイザー&野菜ソムリエ
 むぎの きく
http://muginokiku.seesaa.net/

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